日本には数えきれないほどの飲食店が軒を連ね、新規開店と閉店が頻繁に行われていることは広く知られています。
それにもかかわらず、新たに飲食店を開く人々が途切れないのは、この業界が比較的参入しやすいためかもしれません。
しかし、飲食業は高いリスクと低い利益が伴う、他の業界には珍しい特徴を持っているとも言えます。
お金持ちは飲食店を出したがる?
個人経営の飲食店が減少している現象は、時代の変化を反映しているかもしれません。最近では、企業が運営する飲食店や、裕福な個人が趣味やステータスとして店を開くケースが増えています。しかし、これらのオーナーも開業後、利益が上がらずに困惑することが多いです。飲食店経営は、他のビジネスとは一線を画す難しさがあり、経験豊富なビジネスマンであっても手を焼くことがあります。突然の閉店に至るケースも少なくありません。
また、有名人が経営やプロデュースに関わる飲食店も、開店当初は話題性により顧客が殺到しますが、時間が経つにつれて客足が遠のき、ひっそりと閉店することがよくあります。このように、飲食店の成功は現場での日々の努力によるもので、有名なオーナーであっても実際に現場に関与しない場合、その影響は限定的です。名前を伏せて運営することが、意外と成功につながるかもしれません。
焼肉屋やお好み焼き屋が多い訳
焼肉屋とお好み焼き屋はどちらもよく見かけますが、特に最近はお好み焼き屋が増えているように感じます。焼肉屋は昔から人気があり、多くの場所で見ることができます。
飲食店にはさまざまな種類がありますが、和食や寿司店よりも焼肉屋やお好み焼き屋を開く理由があるのです。
そして、有名人がプロデュースする飲食店の中でも、焼肉屋やお好み焼き屋が多いのが特徴です。
和食屋、寿司屋は?
和食屋や寿司屋を開店するには、単に資金があるだけでは不十分です。これらの店舗は専門的な職人を必要とし、その職人が料理の完成品を直接客に提供するため、高いレベルの知識と経験が求められます。
職人を見つけることは容易ではなく、和食や寿司の技術を持つ者が自ら店を開業する方が経済的に見合うため、優秀な職人が雇われる形で働くことは少ないです。
また、和食や寿司の技術を学んだ人も、自分で店を持つリスクを避けて雇われたいと思う場合があっても、そういった人材が簡単に見つかるわけではありません。
焼肉屋が多い訳
焼肉店やお好み焼き店が他の料理店よりも手軽に開業できる理由は、専門的な職人が必要ない点にあります。仕入れのルートを確保し、肉を機械でカットすることで、調理の専門知識がなくても運営が可能です。
さらに、大きな理由の一つとして、お客さんが自分で食材を焼いて食べるスタイルが挙げられます。この方式は、店側にとっては調理人を雇う必要がなく、お客さんも自分のペースで楽しむことができるため、両者にメリットがあります。この自助式のアプローチが、焼肉店やお好み焼き店の運営を容易にしている主要な要因です。
お好み焼き屋が多い訳
ポイントはコストの安さです。これが最も重要な点です。
飲食店を運営する上で、FLコスト(food and labor cost)は避けて通れない要素です。これは、食材費と人件費の合計を意味し、適正なFLコスト比率は約55%と言われています。だからこそ、粉もの料理が経営面で有利とされる理由の一つです。
さらに、原価が低い上に、焼肉屋と同様、お客様が自分で調理する形式なら、スタッフによる調理の手間が省けます。
焼肉店やお好み焼き店が次々と出店されるのには、こうした経営上のメリットがあるからです。
まとめ
原価が安く、手間がかからないという理由だけで焼肉店やお好み焼き店を始めても、成功が保証されているわけではありません。
むしろ、同じような考えを持つ人が多くいるため、失敗するリスクの方が高いでしょう。有名人がプロデュースした店が数年で閉店するというニュースを見たことがある人も多いと思います。ネームバリューがあり、オープン初日には満席が予想されているような条件でも、長期的な成功を収めるのは難しいのです。
飲食店経営はそれほど甘いものではありません。自分たちの利益ばかりを優先するのではなく、常にお客様のことを最優先に考える必要があります。
毎日が大変ですが、飲食店で成功するためには、何よりもお客様を大切にすることが唯一の道なのです。