飲食店に就職を考える際、「労働時間が長い」「休みが少ない」といった不安を持つ方も多いでしょう。実際、飲食店の勤務は長時間になりがちで、特に繁忙期には休日が減ることがあります。ただし、接客スキルや料理の知識が身につき、顧客から直接感謝を受けることで得られる達成感が大きな魅力です。飲食店での仕事はやりがいも大きいですが、自分の価値観やライフスタイルに合った職場を慎重に選ぶことが大切です。
飲食店社員として働くメリットとデメリット
飲食業界では、小規模なレストランから大規模なチェーン店に至るまで、常に人手不足という問題に直面しています。特に大手企業においては、採用活動が活発であり、安定した収入や良好な職場環境を提供する例が増えているのが現状です。
採用に関して、特定の資格を求める企業は少なく、学歴や専門技術がなくても、意欲と努力次第で上位の職位に昇進するチャンスがあります。大手チェーン店では、店舗の運営を拡大するために基本的な調理技能が求められることがありますが、複雑な料理技術は必須ではなく、未経験者でもトレーニングを受ければ徐々に業務をこなせるようになります。
この業界では、学歴や特別な技能を必要としないため、キャリアアップを目指す意欲的な人々にとって、正社員としての多くの機会が開かれています。ただし、一般職員として働く場合、時給換算で見ると給与は他の業種に比べて低めであり、休日が少ないという問題もあります。
アルバイトスタッフに関しては、シフトが急に変更されることがあり、本来の休日が取消しになることも少なくありません。特に飲食業界では、一般的な休日が繁忙期と重なるため、出勤が必須となり、これが社交活動の機会を減少させる原因となることがあります。さらに、年末年始やお盆などの大型連休でも、休みが取れない場合があります。
また、この業界では残業が一般的であり、残業代が支払われないことが前提とされるケースもあります。職場では長時間立ちっぱなしで働くことが多いため、体力に自信がない人にとっては厳しい環境かもしれません。
入社初期には特別な技能が求められることはほとんどありませんが、長期間にわたってチェーン店で働く中で、他業界への転職に有利に働く専門技術を身につける機会は限られています。明確なキャリア目標がないと、この業界で長期的に勤務を続けるのは難しいかもしれません。
飲食店で働く社員の休日や労働時間の実態
飲食業界では、土日祝日が他業界における休日とは逆に、売上を伸ばすための繁忙期とされており、これらの日に働くことがフロントラインのスタッフには一般的に求められます。従業員は週の中で平日休みを取ることが多く、逆転した休日スケジュールに慣れる必要があります。特にゴールデンウイークや年末年始のような繁忙期には、連続勤務が一般的で、休息を取ることが難しく、高い労働負担がかかります。
飲食店の営業時間は早朝から夜遅くまで続くため、従業員の勤務時間は店の営業時間を超えることが多々あります。開店前の準備や閉店後の作業により、労働時間が長引くことがしばしばです。
理想的には、アルバイトスタッフを適切に教育し、店舗運営の多くを任せることで、正社員が事務的な業務や専門的なタスクに集中できるようにすることが望ましいです。しかし、アルバイトの教育水準や人手不足、店長の管理能力によっては、これを実現するのは難しい場合があります。
優れた店長は、アルバイトスタッフに必要なスキルを効果的に伝え、良好なコミュニケーションを保つことで、店舗運営を円滑に行い、スタッフの離職率を低く抑えます。これにより、社員も適切な休息を取れる環境が整います。一方で、管理やコミュニケーションが不十分な店長のもとでは、アルバイト不足を社員が補うことになり、過重労働が生じる悪循環に陥ることがあります。
飲食業界では、法定労働時間内での管理がされているものの、拘束時間が非常に長くなることが多く、これが社員が激務であると感じる主な理由となっています。このような状況は、従業員のワークライフバランスを崩す可能性があり、業界全体としての課題となっています。
飲食店の社員の仕事内容とは
飲食業界で正社員としてキャリアをスタートする場合、多くの新入社員はまず店長候補として店舗に配属され、そこでアルバイトスタッフと共に接客や調理などの業務を行いながら、実践的なスキルを身につけていきます。店舗業務を通じて、彼らは徐々に店舗運営に必要な全ての業務を習得し、最終的にはすべてをこなせるようになることが期待されます。
しかし、全ての業務ができるようになったとしても、店長に昇格できない社員もいます。その理由として、責任感の不足やコミュニケーション能力の欠如が挙げられます。飲食業界では、アルバイトから正社員へ昇格するケースも少なくなく、これが一般的なキャリアパスの一つとされています。店長に昇格すると、スタッフのシフト管理やアルバイトの教育、食材や備品の発注管理など、より複雑なマネジメント業務が求められます。
また、店長はクレーム対応や店内トラブルの解決も担当し、特にチェーン店では店舗間の異動が頻繁に行われるため、新しいスタッフとの関係構築が重要であり、これがしばしばストレスの要因となります。
チェーン店の運営においては、一人のエリアマネージャーが複数の店舗を担当します。エリアマネージャーは、直接的な営業活動には関与せず、本社からの方針や運営手法を各店舗に伝え、定期的に巡回することで店舗の状況を把握します。彼らは売上状況の監視やメニュー構成、店内の状況、人件費や在庫管理に関する指導も行います。
さらに、エリアマネージャーは店長の教育と指導を担当し、各店舗の状況を本社に報告する役割も果たしています。こうしてエリアマネージャーは、本社と各店舗との橋渡し役として、企業の方針が現場で適切に実行されるようサポートします。
通常、エリアマネージャーには豊富な経験を持つ元店長が選ばれ、成功を収めれば将来的に本社での重要なポジションに就く可能性があります。本社勤務では、新規出店戦略の策定や商品開発、各種企画の立案など、企業経営の中核を担う業務に従事します。
多くの飲食業界従事者が最終的に本社勤務を目指しますが、現場中心の業界であり、本社勤務者は全体の一部に過ぎないのが実情です。
まとめ
飲食店業界は、慢性的な人手不足が続いていることもあり、資格や特別なスキルが必要な会社が少ないため、比較的入りやすい業界です。しかし、その一方で、体力的な負担が大きく、辞めていく人も少なくありません。
若くても、エリアマネージャー以上の役職に就けば、他の業種で同じ年齢の人々よりも高い年収を得られる会社もあります。私の場合、入社から4ヶ月目でリーダーとなり年収325万円、2年目に副店長で年収420万円、3年目で店長として年収480万円、8年目にエリアマネージャーで年収600万円、そして11年目に本社勤務となり、年収720万円を達成しました。
将来、独立を目指している方や、学歴や資格がなくても経営に携わりたい方、体力に自信があり、周りが休んでいる日に働くことに抵抗がない方は、飲食業界にチャレンジしてみる価値があると思います。
